弁護士ブログ

2012年3月31日 土曜日

刑事弁護マニュアル発刊

 私が監修者・執筆者として関与した東京弁護士会法友全期会刑事弁護研究会編「全訂刑事弁護マニュアル」が株式会社ぎょうせいから3月30日,発刊されました。
 法友全期会の刑事弁護マニュアルは,近時出版されている刑事弁護のマニュアル本の中でも,この類の書籍の少なかった二十数年前から多くの読者に読まれている定評のあるもので,今回改訂に中心的な立場で関わらせていただいたのは大変な光栄なことでした。
 しかし,法友全期会という弁護士会の中の若手の集まりで作成しましたので,未熟な内容も含まれているかもしれません。ただし,現状の最低限の内容は押さえられるかなとは思っています。私個人としては,新たに出版に監修者・執筆者として関与させていただいて,最近の刑事手続きの流れや判例を勉強することができ大変に良かったと思います。これからも最先端の刑事弁護を提供できるよう研鑽を重ねて参りたいと思います。
 屋宮昇太

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2012年3月25日 日曜日

接見等禁止の過酷さ

 犯罪したことが疑われ勾留をされた際に,合わせて接見等禁止の決定がなされることがあります。接見等禁止の決定とは,勾留期間中弁護人以外の人と面会ができなくする決定のことを言います。接見等禁止処分は,交流されても尚罪証隠滅の可能性が高い場合になされることとなっています。
 この決定がなされると妻や子などの親族とすら一切面会できなくなります。以前もこのブログで書きましたが,勾留期間中はただでさえ,心理的に不安定な状況におかれます。これがさらに接見等禁止決定がなされ弁護人以外と面会できないとなると,この不安はさらに度を増すこととなります。
 したがって,検察官が,接見等禁止決定を裁判所に請求することを被疑者に告げることは被疑者にとっては非常な脅威となります。検察官が,罪証隠滅の防止のためでなく,これを利用して取調べを有利に進めようとしていることはないと思いますが,被疑者の話を聞いていると,そのように感じてしまうこともあります。
 いずれにせよ,接見等禁止がなされると被疑者の精神的安定を保つために弁護人がさらなる労力をつぎ込んでいかなくてはなりません。弁護人接見を頻繁に行い,親族等との犯罪事実以外の連絡を取ったり,メッセージを伝えたりして,被疑者を励まし続けていく必要があります。また,並行して接見等禁止決定の全面解除を裁判所に求めたり,親族のみとの接見は認めるように一部解除を裁判所に求めたりします。
 当事務所では,このように接見等禁止が付された事件でも最大限の努力を行っており,頻繁に接見を行い,検察官と粘り強く交渉を行う等した後,接見禁止の解除申請を行い,接見等禁止の解除を実現する等しております。
 屋宮昇太

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2012年3月22日 木曜日

保釈について

 よく報道で保釈という言葉が出てきます。保釈というのは,一定の犯罪を犯していると疑われ起訴された後に,保釈保証金を裁判所に預けて,一旦釈放されるという制度です。保釈金を預けておきながら,裁判に出頭しなかったりすると,これが没収される可能性があります。これは,起訴された後にしか適用がなく,起訴される前の逮捕・勾留期間は保釈制度は利用できません。
 どういうときに保釈が認められるかというと,平たく言えば,保釈保証金を裁判所に預けることで,逃亡の可能性や罪証隠滅の可能性が一定程度にまで下がるときです。一般的には,保釈保証金の金額が高ければ高いほど,逃亡の可能性や罪証隠滅の可能性が低くなると考えられます。もちろん,金額が積まれれば,必ず釈放されるというものでもありません。
 保釈保証金の金額は,一概にはいえませんが,窃盗とか覚せい剤といった犯罪の中で軽い程度のものでも150万円は,必要とされることが多いようです。今日では,一定の手数料を払うと保釈保証金を用立ててくれる業者も出てきており,さらに,いずれは弁護士会で保釈保証金に関する制度を作ろうとしているところです。私も,保釈保証金を用立ててくれる業者を利用して保釈決定を得たこともあります。
 近時は,一定程度の重大犯罪でも保釈決定が出されることもあり,私も裁判員裁判対象事件でも保釈決定を得た経験もあります。何事も無理だと決め付けない活動が重要だと思い知らされました。
屋宮昇太

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2012年3月17日 土曜日

刑事弁護(刑事事件)における示談

 刑事弁護(刑事事件)で示談というと,あまり良い印象を持っている方は少ないような気がしています。犯罪をした人が,お金を払って,一応の反省の情を示し,刑を軽くしてもらおうとしているだけでなはいかと。。。
 犯罪は一度起こってしまうと,全く元の状態に戻るということはありえません。軽微な窃盗であったとしても,被害者側の心に傷を与えてしまうことは事実であって,どんなにお金を払って,謝罪をしても一度生じた心の傷が消えてなくなるということはないと思っています(もちろん,真にその人が被害者であればということですが)。財産犯でない性犯罪等であればなおさらです。
 では,示談はやはり犯罪をした人が刑を軽くするためだけにあるのでしょうか?
 少なくとも私は,そのためだけの示談であってはならないと思っています。特に加害者が逮捕されているような場合,加害者から被害者に謝罪の意思を伝えられるのは弁護士である場合がほぼ全てです。
 弁護士が,被害者に謝罪の意思を示し,被害者の心情を受け取る。そして,それを加害者に伝えるというコミュニケーションの中で,被害者の心の傷が少しでも癒えるように努力し,加害者側は自分の人生の狂いを修正できるように努力する。
 その結果として,双方の心が少しでも良い方向に動き,その結果として示談が成立するという努力をすることが大事だと思っています。狂ってしまった何かが少しでも正常な状態に近づくようにしたい,こういう思いで,私は弁護活動を行っています。いずれにせよ,示談については,私の意見に賛同しない方もいるかもしれず,軽々には語りつくせないものであると思います。
屋宮昇太

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2012年3月16日 金曜日

情状弁護

 刑事事件で被告人が犯罪をしていることを認めているときには,専ら刑の重さがどの程度かが問題となります。このとき被告人の刑の重さに関する弁護活動を行うことを情状弁護といいます。
 特に懲役3年までだと執行猶予となる可能性があり,この執行猶予となるかどうかが大きな争点となることが多いです。執行猶予とは,懲役を言い渡されても一定期間禁固刑以上の罪で罰せられなければ刑務所に行かなくても済むという制度です。たとえば,懲役3年執行猶予5年の判決であれば,5年間禁固刑以上の罪で罰せられなければ,3年の懲役は刑の言い渡しの効力を失い刑務所にいかなくても済むこととなるので,執行猶予が付くかどうかは被告人のその後の人生に大きな影響を与えます。
 情状弁護で主張することは,たとえば窃盗では,盗んだ動機,被害金額の大小,示談の成否,被告人の反省などある程度,パターン化されています。
 しかし,私は,このようなパターン化された弁護活動だけではなく,なぜこのような犯罪をしてしまったのか,今後どのようにして生活をして再度の犯罪をしないようにするかを目の前の依頼者と徹底して語り合うようにし,時には依頼者と議論を交わします。その上で,その人の善悪両面を合わせもつ,人間そのものの姿を法廷では裁判官に理解してもらおうと努力しています。
 「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がありますが,弁護人が法廷で「罪」にのみ着目した弁護活動しか行わず,「人」を重視した弁護活動を行わなければ,法廷で依頼者の「人」の側面を語る人がいなくなってしまいます。検察官は,被告人を「犯罪者」として主張立証を行いますが,弁護人としては,被告人を善悪の両側面を持つ「人」として適正な処分がなされるように最大の努力をしていかなければならないと考えています。
 屋宮昇太

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2012年3月12日 月曜日

裁判員裁判の控訴事件

 最近,裁判員裁判の無罪判決を控訴審(東京高等裁判所)が破棄して有罪判決を下した事件について,最高裁が,高裁判決を破棄して無罪判決を言い渡すということがありました。・・・・にもかかわらず,その後,大阪高裁が裁判員裁判の無罪判決を出したようです。高裁おそるべしという感じです。
 私自身裁判員裁判を昨年経験し,その後,裁判員裁判の控訴審(高等裁判所の審理)を経験しました。これまでの供述調書が重きを置く,裁判官による裁判とは違い,その審理にしか加わらない意裁判員が審理する裁判人裁判は,法廷でのやり取りが正に全てを決めるという法廷での緊張感は,これまでにないものでした。賛否両論ありますが,私は,裁判員裁判の良い面もたぶんにあると感じています。
 始まったばかりの制度で,色々動きがめまぐるしいですが,しっかりと流れを追い続けて,最先端の弁護技術を皆様に提供できるようがんばってまいります。
 屋宮昇太

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2012年3月 8日 木曜日

身体拘束の心理的不安

 刑事事件は,犯罪をしたと疑われた人(被疑者といいます)が逮捕され必要性がある場合,原則10日間,さらに必要があれば,10日間の合計20日間,警察署や拘置所で身体拘束されることとなります。そして,身体拘束を受けつつ,警察や検察から取調を受け続けることとなります。
 この身体拘束の与える心理的不安は,並々ならぬものがあり,身体拘束をされた方々が口をそろえて,あの不安から逃れるために,虚偽の自白をしてもいいのではないかという気になってくるとのことです。犯行を一旦認めてしまうと後に,本当はやっていなかったと述べても,有罪となってしまう可能性が著しく高まってしまいます。
 私たちは,虚偽の自白を生じさせないためにも,身体拘束の心理的不安を少しでも理解して弁護活動を行うことが重要だと考えています。そのため,特に,犯行を否認する事件に関しては,チームを組んで原則的に毎日接見をしています。毎日接見することで,被疑者の日々の精神状態,取調状況をチェックし,不当な取調があれば抗議していきます。その結果,起訴もされずに不起訴を勝ち取った事件もあります。
 屋宮昇太

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2012年3月 5日 月曜日

公判前整理手続きとは

 私は,東京の公判前整理手続が採用された第1号の刑事事件を担当しました。弁護士会でチーム編成した末端にいさせていただいた感じですが,起案等も担当させていただくことができました。
 公判前整理手続とは,主に裁判員裁判の対象となる事件で行われる手続きです。裁判員も加わった法廷での審理を行う前の準備手続で,検察官と弁護人がどのような主張をするか,どのような証拠を提出するかを整理し,審理が円滑に行われるよう準備するのです。
 公判前整理手続では,検察官が自らの主張を立証する証拠を弁護人に開示した後,弁護人から他に収集されている可能性のある証拠の開示を検察官に求めるなどした上,弁護人の主張を確定させていき双方の準備が整った段階で裁判員を選ぶ手続きを行うこととなります。
 検察官が,弁護人が証拠開示を求めたにもかかわらず開示しなかったような場合は,裁判所に対し,裁定申立といって,検察官に開示させるよう求める手続きを行います。これが認められると,検察官は,証拠を弁護人に開示しなくてはならなくなります。
 私は,その後の事件で,検察官に被告人の取調の状況を録画したDVDのコピーを求めたところ,拒絶されたため,他の弁護人とともに裁定の申立をし,DVDのコピーを条件付で認めて貰った初の決定を得ることができました。
 屋宮昇太

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